昔話のすばらしさ!
子どもといっしょだとお話のおもしろさは又格別でした。私も楽しくてなりません。しかも気がつくと、子どものほうが私より先におはなしの世界に入っているではありませんか。天心らんまん、無邪気な彼らの感覚はみずみずしく鋭く、私にはなかなか手強いライバルでもあったのです。それだけにいい加減にはできません。もしつまらない話をしたら完全にそっぽを向かれます。
子どもが喜ぶのは、まずお話の入り口がきちんとして、まごつかないで入っていかれること、お話が目に見えるように具体的に書かれていること、リズムとユーモアも欠かせません。
「むかしむかしー」と何世紀にもわたって語り継がれてきた物語には、これらの要素が見事にそろっています。子どもにもおとなにも、まちがいなくおもしろいのです。
<あとがきより抜粋>
著者紹介
<文> 中川李枝子
札幌に生まれる。東京都立保母学院卒業。「いやいやえん」で厚生大臣賞、NHK児童文学奨励賞、サンケイ児童出版文化賞、野間児童文芸推奨作品賞受賞。作品に、『ぐりとぐら』シリーズをはじめ、「そらいろのたね」「こだぬき6ぴき」「かえるのエルタ」「ももいろのきりん」など多数ある。
<絵> 山脇百合子
東京に生まれる。上智大学フランス語科卒業。高校三年の時より童話のさし絵や絵本の仕事を数多く手がけ、明るく楽しい絵で子どもたちの心を魅了している。主な作品に、実姉中川李枝子氏とのコンビで「いやいやえん」「かえるのエルタ」「おひさまはらっぱ」「たんたのたんけん」「わんわん村のおはなし」など。